CostBox-DR Series 取扱説明書
需要家が保有する電力量データと市場価格データを組み合わせ、省エネ法における「電気需要最適化原単位」評価やDR(ディマンドレスポンス)の有効性検証を可能にするデータ駆動型評価ツールです。
ソフトの概要
本ソフトは、需要家が保有する電力量データ(30分単位)と、エリア別の市場価格データを組み合わせ、以下の分析機能を自動生成します:
二軸グラフ
電力量×市場価格の時系列表示
散布図+回帰直線
価格感応性の定量化分析
年度別ランキング
正相関/負相関上位日の抽出
年間散布図
中央値付きの年間傾向分析
これにより、省エネ法における「電気需要最適化原単位」評価や、DR(ディマンドレスポンス)の有効性検証が可能となります。
操作方法
(1) 入力データの準備
電力CSV
  • 1列目:日付(例:2025-04-01)
  • 2列目以降:00:00~23:30までの48コマの使用電力量[kWh]
  • ファイル名は施設名とすることが望ましい
価格CSV
  • 1列目:日時(例:2025-04-01 00:00)
  • 2列目以降:エリアごとのスポット市場価格[円/kWh](北海道、東北、東京 … 九州)
(2) 入力と設定
  • 「電力CSV」「価格CSV」をアップロード
  • エリアを選択(列名が一致しない場合は列番号を指定)
  • 年度方式を選択
  • 暦年(Y)
  • 会計年度(FY: 4月始まり)
  • 抽出件数(正/負各5~20件)を指定
(3) 出力機能
  • 年度別ランキング作成 → 相関の強い日を抽出
  • グラフ描画 → 二軸・散布図を個別表示
  • 一括生成 → 年間散布と抽出日ギャラリーをまとめて出力
  • PDF出力 → 二軸/散布/年間散布をPDF化
分析の意味と効果
二軸グラフ
電力量(青)と市場価格(赤)を時間帯ごとに重ねて表示
特に8時~16時帯(MJ換算値3.6)を背景ハイライトし、省エネ法評価の基準時間を強調
価格上昇時に需要抑制が効いているか、直感的に確認可能
散布図+回帰直線
横軸:価格、縦軸:電力量
回帰式: 電力量 = a × 価格 + b
  • 傾き a > 0(回帰直線:右上がり)→ 最適化していない(要改善)
  • 傾き a < 0(回帰直線:右下がり)→ 最適化している(望ましい)
相関係数rで価格感応性の強さを定量化
年度別ランキング
日別の回帰分析結果から、相関が正/負それぞれ上位の日を抽出
  • 「正TOP」=価格と需要が同方向に動く日 → 省エネ対策が効いていない日
  • 「負TOP」=価格上昇に対して需要が下がる日 → DR効果が高い日
年間散布(中央値付)
価格×電力量の全点をプロットし、年間の傾向を俯瞰
中央値クロスヘアで価格中央値・電力量中央値を表示し、標準的な需給状況を把握
年単位での需要最適化評価を可能にする
極端価格の発生日数(50円以上・0.01円)
各年度で「高騰日(≥50円)」と「超安値日(0.01円)」の日数をカウント
DR設計や容量拠出金対策に直結する指標
効果と活用例
省エネ法対応
「電気需要最適化原単位」の基礎資料として利用可能
監査対応や報告書の添付資料に適用
経営層への説明資料
抽出グラフをPDF化 → A4資料化し「価格高騰に対する自社の対応力」を見える化
DR戦略立案
「負相関日」の傾向を分析 → 上げDR参加計画を策定
「正相関日」の特定 → 改善ポイント(空調・冷凍機制御など)を提示
補助金申請の根拠資料
実測値に基づいた価格感応性の可視化 → 「需要最適化努力」の客観的証拠に
留意点

価格CSVは必ずスポット市場の一日前データを利用すること
  • 極端価格(0.01円/kWh 等)の取扱い
    0.01円/kWh 等の極端価格は**計測誤差ではなく、市場設計に基づく制度値(再エネ電力の余剰シグナル)**である。統計的外れ値として除去せず、上げDRの評価対象イベントとして取り扱う。
  • 日別回帰における標本数の閾値(n≧20)
    日別回帰の推定安定性を確保するため、同一日の有効スロット数が20点未満(n<20)の日は解析対象から除外する(n≧20を閾値)。有効スロットは電力量>0 かつ 価格>0の組合せにより定義され、極小負荷や欠測が多い日の係数推定の不確実性を抑制する。
付記
本ソフトは、単なる「予測」ではなく実態の見える化(実測値による回帰分析)を目的とします。気象条件やその他外部要因は一切不要であり、省エネ法対応に特化したデータ駆動型のDR評価ツールです。
CostBox-DR Series
📌 CostBox-DR Series|作成日: 2025年9月23日
データ駆動型のDR評価により、省エネ法対応と需要最適化を実現します。実測値に基づく客観的な分析で、経営層への説明資料作成から補助金申請まで幅広くご活用いただけます。